米財政赤字が1兆9,925億ドルに確定、財務省決算で純利子支出1兆518億ドルが国防費9,652億ドルを上回る

米国
米国の財政赤字は、2026会計年度(2025年10月~2026年9月)の決算で1兆9,925億ドルに確定した。米財務省財政サービス局(Bureau of the Fiscal Service)は、9月の月間財政計算書(MTS)最終版において、連邦政府が同期間中に5兆4,033億ドルを徴収し、7兆3,958億ドルを支出したと発表した。財務省は文書冒頭の概要で、今号に最終的な予算結果が盛り込まれているとし、2026会計年度の赤字を1兆9,920億ドルと紹介した。前年の赤字1兆7,754億ドルと比較すると、2,171億ドル増加した。
連邦政府は支出の73%のみを賄い、残り27%を借入
財務省の表にある総収入5兆4,033億ドルを総支出7兆3,958億ドルで割った値は73.1%である。連邦政府が100ドルを支出した場合、税金や各種収入で約73ドルを賄い、約27ドルが不足した計算になる。この比率は算出した値である。不足分の1兆9,925億ドルを365日で割ると、1日あたり約54億6,000万ドルとなる。前年の赤字1兆7,754億ドルを同様に割ると1日あたり約48億6,000万ドルとなり、1日あたりの不足分は約6億ドル拡大した。
この不足分は、財務省が国債を発行・売却して補填した。同表の財源調達項目において、民間からの純借入額は2兆730億ドルであり、前年は1兆9,731億ドルだった。純借入額は赤字額を805億ドル(算出した値)上回った。同表において、財務省の営業資金残高は932億ドル増加し、9月末時点で9,840億ドルとなった。赤字分だけを借り入れたのではなく、手元現金の積み増しにも借入金が充てられた。
米国の会計年度は毎年10月1日に始まり、9月30日に終了する。財務省財政サービス局の公式アカウントは10月1日、2027会計年度が同日開幕し2027年9月30日まで続くと告知するとともに、連邦資金の流れを財政データサイト「Fiscal Data」で追跡するよう案内した。
📅New year, new numbers! On October 1, 2026, we begin FY2027, which runs through September 30, 2027.
— Fiscal Service (@FiscalService) 2026년 10월 1일
As FY2027 unfolds, follow the flow of federal dollars on https://t.co/mmuDpA6BH3 and https://t.co/tWD5u30Prt.
Welcome to FY2027! Let’s see what the data tells us. 🎉 pic.twitter.com/hQSDv0CS9Z
今回の決算は、2026年1月から12月までの暦年ベースの数字ではなく、2025年10月から2026年9月までの12カ月間の合算である。赤字1兆9,925億ドルを月別に見ると、7月の赤字が4,323億ドルで最大となり、4月は2,150億ドルの黒字であった。最終月である9月の赤字は269億ドルだった。
収入は3.2%増、支出は5.5%増で赤字が12.2%拡大
前年と比較して赤字が拡大した要因は、支出の伸びが収入の伸びを上回ったためである。総収入は5兆2,346億ドルから5兆4,033億ドルへと1,687億ドル(3.2%)増加した。総支出は7兆100億ドルから7兆3,958億ドルへと3,858億ドル(5.5%)増加した。支出の増加額が収入の増加額の2.3倍に達したため、赤字は2,171億ドル(12.2%)膨らんだ。これらの増加率はすべて財務省の表に記載された2カ年の数字から算出した値である。
議会予算局(CBO)は10月8日の月間予算概要で、同様の傾向を示す試算を発表した。CBOは2026会計年度の赤字を2兆ドルと試算し、前年より2,180億ドル多いと明らかにした。収入は1,690億ドル(3%)、支出は3,860億ドル(6%)増加したとCBOは発表した。CBOは支出が増加した分野として、国債の純利子、主要な社会保障給付プログラム、国防、教育を挙げた。
支出面で最大の項目は社会保障である。財務省の機能別支出表によると、社会保障は1兆6,671億ドル、メディケア(高齢者向け医療保険)は1兆726億ドルであった。社会保障は総支出の22.5%、メディケアは14.5%を占める。社会保障とメディケアに次いで大きい支出が純利子である。支出を賄う税収の内訳は次の通りである。
収入の86%は個人所得税と給与税
財務省の表によると、個人所得税は2兆8,455億ドルで総収入の52.7%を占めた。一般に給与税と呼ばれる社会保険・退職給付関連収入は1兆8,118億ドルで33.5%だった。この2項目を合わせると86.2%に達する。個人所得税は前年の2兆6,560億ドルから1,895億ドル(7.1%)増加し、給与税は635億ドル(3.6%)増加した。
企業部門は対照的な動きを見せた。法人税は4,521億ドルから3,814億ドルへと707億ドル(15.6%)減少した。総収入に法人税が占める割合は7.1%である。スコット・ベセント米財務長官は9月27日、財務省の公式アカウントが投稿した動画で、7月4日に成立した「勤労世帯減税」が効果を現し始めていると述べた。ベセント長官は、この税法が一方で事業用設備、工場、農業施設の全額即時償却を盛り込み、他方で大統領が公約したチップ非課税、時間外手当非課税、社会保障給付所得の減税、米国製自動車のローン利子控除を盛り込んだと語った。長官はその成果を「雇用の拡大、経済の加速、そして米国人が自ら稼いだ資金をより多く手元に残せること」だと評価した。
.@SecScottBessent: “The Working Families Tax Cut passed last July 4th is kicking in... The tax bill had symmetry: on one side, full expensing for business equipment, factories, and agricultural structures... On the other side, the President kept his four signature promises: no… pic.twitter.com/6zDsjHQl6X
— Treasury Department (@USTreasury) 2026년 9월 27일
財務省の決算表には、法人税減少の理由は記されていない。決算の数字から確認できるのは、個人所得税収入が増加し、法人税収入が減少したという事実である。
関税純収入は1,732億ドルに減少も、総徴収額はむしろ増加
財務省の表によると、2026会計年度の関税総徴収額は3,178億ドルで、ここから還付金1,446億ドルを差し引いた純収入は1,732億ドルだった。前年は総徴収額が2,024億ドル、還付金が75億ドル、純収入が1,949億ドルだった。総徴収額は57.1%増加したものの、還付金が約19倍に急増したため、純収入は11.1%減少した。純収入が総収入に占める割合は3.2%である。
月別の純収入は次の通りである。10月から4月までは毎月221億ドルから314億ドルが入り、7カ月の合計は1,886億ドルだった。5月以降は純収入がマイナス4,200万ドル、6月はマイナス256億ドル、7月はマイナス85億ドルへと転じ、8月には128億ドル、9月には59億ドルへと回復した。5月から9月までの5カ月間の合計はマイナス154億ドルである。先述の7カ月分の1,886億ドルにこの5カ月分を加算すると、年間純収入の1,732億ドルとなる(算出した値)。財務省が9月の財務省会報で発表した四半期ベースの数字も一致している。4月から6月までの第3四半期の関税純収入はマイナス35億ドルで、前年同期比で679億ドル減少し、財務省はその理由の一部として関税還付金が711億ドル増加した点を挙げた。
還付の理由や対象は、財務省の月間財政計算書および会報本文には記載されていない。月間財政計算書の表には、関税の年間推定値として4,061億ドルも掲載されている。実際の純収入1,732億ドルは、この推定値の42.7%にとどまる。この推定値欄の作成時期や出典は、財務省の文書には記されていない。
純利子支出は1兆518億ドル、国防費を866億ドル上回る
財務省の機能別支出表によると、純利子は1兆518億ドルで、前年の9,704億ドルより814億ドル(8.4%)増加した。国防費は9,652億ドルで、純利子が866億ドル(9.0%)上回った。支出規模の順位は、社会保障、メディケア、純利子、保健、国防の順となる。前年も純利子の9,704億ドルが国防費の9,166億ドルを上回っていたため、利子支出が国防費を超過したのは今回が初めてではなく、その格差がさらに広がった形だ。
この純利子が税収等に占める割合を計算すると19.5%になる。税金や各種収入で100ドルを徴収した場合、約19.5ドルが国債の利子として流出した計算になり、前年は18.5ドルだった。総支出に占める割合は14.2%となり、前年の13.8%から上昇した。1日当たりでは純利子だけで約28億8,000万ドルに達する。3つの比率はいずれも財務省の表の数字から算出した値である。
純利子と国債利子は同義の数字ではない。財務省の表において、財務省所管の国債利子(総額)は1兆3,600億ドルで、前年の1兆2,156億ドルより1,443億ドル(11.9%)増加した。総額ベースでは収入の25.2%、支出の18.4%に相当する。総額と純利子の差額は3,082億ドルである。
国債利子は表の年間推定値をすでに超過
月間財政計算書の表には、現行会計年度の累計額の横に「年間推定値」の列が設けられている。この列を見ると、総収入の推定値は5兆4,757億ドル、総支出の推定値は7兆5,404億ドルとなっている。実際の収入は推定値より724億ドル少なく、実際の支出は1,446億ドル下回った。2つの推定値を差し引いて計算すると推定赤字額は2兆647億ドルとなり、実際の赤字1兆9,925億ドルはこれを723億ドル下回る。この推定赤字額は財務省が公式に発表した数字ではなく、表の2つの欄から算出した値である。
国債利子の総額は、推定値の1兆3,013億ドルを587億ドル(4.5%)超過した。これとは対照的に、関税の純収入は推定値の42.7%にとどまった。同一の表の中で、利子は推定値以上に流出し、関税は推定値を大きく下回る結果となった。
同表には、翌年度となる2027会計年度の推定値も掲載されている。総収入は5兆9,210億ドル、総支出は8兆929億ドルである。2つの欄の差額を計算すると2兆1,719億ドルとなる。これも算出した値である。2027会計年度の推定値において支出は8兆ドルを超え、収入との開きも2兆ドルを上回る。
連邦政府の総債務は40兆1,718億ドル、1年で2兆5,343億ドル増
財務省の月間財政計算書にある財源調達表によると、国債総残高は2026会計年度の期首時点の37兆6,376億ドルから9月末時点で40兆1,718億ドルへと2兆5,343億ドル(6.7%)増加した。このうち民間保有の債務は30兆2,778億ドルから32兆4,250億ドルへと2兆1,472億ドル(7.1%)増加した。残りの7兆7,468億ドルは連邦政府機関の口座が保有する国債である。民間保有分と連邦機関保有分を合算すると、総残高の40兆1,718億ドルになる(算出した値)。総債務は今年度の総収入の約7.4倍に達し、民間保有債務だけでも6.0倍に相当する。いずれの倍率も算出した値である。
財務省の日次債務統計「Debt to the Penny」において、総債務が初めて40兆ドルを突破した記録日は8月18日であり、同日の総債務は40兆474億ドルだった。直近の記録である10月22日時点では40兆4,443億ドルとなり、9月末より2,725億ドル増加した。新会計年度が始まってわずか3週間余りで、それだけの債務がさらに積み上がった。同統計において、8月31日の40兆1,756億ドルから9月30日の40兆1,718億ドルへと小幅に減少していた。
債務が拡大すれば利子も膨らむ。財務省財政サービス局の平均金利統計において、利息が発生する全国債の平均金利は、2025年9月30日の3.363%から2026年9月30日には3.531%へと上昇した。債務規模と平均金利が揃って上昇した。
国債利回りは1年で上昇、10年債は4.16%から5.29%へ
米財務省が日々公表している国債イールドカーブによると、10年債の利回りは2025年9月30日の4.16%から、2026年9月30日には5.29%となった。2年債は3.60%から4.88%へ、30年債は4.73%から5.64%へと上昇した。直近の数値である10月23日時点では、10年債が5.00%、2年債が4.69%、30年債が5.33%だった。
国債利回りは連邦政府の資金調達コストであると同時に、市場における長期金利の指標として広く用いられる数値である。ドル資産を預金したり債券を購入したり、あるいはドルで借入を行う人々にとって、この利回りは金利の基準となる。同期間中、赤字は1兆7,754億ドルから1兆9,925億ドルへ、総債務は37兆6,376億ドルから40兆1,718億ドルへと拡大し、10年債利回りは4.16%から5.29%へと跳ね上がった。
個人所得税と給与税が連邦収入の86.2%を占める構造下で、純利子が収入の19.5%を消費するということは、税金として納められた100ドルのうち約19.5ドルがすでに借り入れた資金の利子支払いに消えていることを意味する。この比率は前年の18.5%から1ポイント上昇した。利子として流出する分は、道路や国防、社会保障へ新たに投じることのできない資金である。
議会予算局の見通しと財務省の数値は2兆ドル前後の赤字継続を示唆
議会予算局の「2026〜2036年 予算・経済見通し」は、2026年の赤字を1兆9,000億ドル、支出を7兆4,000億ドル、収入を5兆6,000億ドルと予測していた。CBOの見通しでは、純利子は2026年に国内総生産(GDP)比で3.3%となり、2036年には4.6%まで上昇する。実際の決算は、支出が7兆3,958億ドル、収入が5兆4,033億ドル、赤字が1兆9,925億ドルとなった。項目別の見通しと決算の比較では、支出が7兆4,000億ドル対7兆3,958億ドル、収入が5兆6,000億ドル対5兆4,033億ドル、赤字が1兆9,000億ドル対1兆9,925億ドルとなった。支出は見通し通りの水準であり、赤字は見通しをやや上回った。
財務省は次回の月間財政計算書となる2026年10月分を、11月12日午後2時(米国東部時間)に公表すると文書内で予告した。新会計年度の初月の赤字が今回の決算の流れを引き継ぐのかどうかは、同文書で初めて確認されることになる。2026会計年度の米国財政は、支出の27%を借入で穴埋めし、年間約2兆ドルを借り入れて使う規模となった。個人所得税と給与税が収入の86.2%を占め、法人税は3,814億ドルへと15.6%減少した。国の債務は40兆ドルを突破し、その債務に対する純利子支出は1兆518億ドルと国防費の9,652億ドルを上回り、1兆ドルの大台を超えている。
出所 (KST)
- 米財務省財政サービス局「Monthly Treasury Statement, September 2026」(データセットページ更新 2026-10-23):https://fiscaldata.treasury.gov/static-data/published-reports/mts/MonthlyTreasuryStatement_202609.pdf
- 米財務省財政サービス局 Debt to the Penny:https://fiscaldata.treasury.gov/datasets/debt-to-the-penny/
- 米財務省財政サービス局 平均金利統計(Average Interest Rates on U.S. Treasury Securities):https://fiscaldata.treasury.gov/datasets/average-interest-rates-treasury-securities/
- 米財務省 日次国債イールドカーブ(Daily Treasury Par Yield Curve Rates):https://home.treasury.gov/resource-center/data-chart-center/interest-rates/TextView?type=daily_treasury_yield_curve
- 議会予算局(CBO)月間予算概要(2026-10-08)および2026〜2036年 予算・経済見通し
- X(米財務省財政サービス局 @FiscalService、米財務省 @USTreasury)投稿:https://x.com/FiscalService/status/2105719512796385753 、 https://x.com/USTreasury/status/2104238356460642529