ナイジェリア、南アの外国人嫌悪により今年2,151人を退避…第16便で114人が帰国

ラゴス
ナイジェリア外務省は23日(現地時間)の報道資料で、南アフリカ共和国での外国人排斥(ゼノフォビア)から逃れて帰国した自国民114人が22日夜、ラゴスに到着したと発表した。これら帰国者は南アフリカ航空(SAA)SA060便で22日午後8時30分ごろラゴスに到着した。外務省は、今回の帰国が6月10日の退避開始以来16回目となり、これまでに南アフリカから帰国したナイジェリア人は計2,151人に上ると集計した。報道資料番号はMFA/PR/2026/280で、外務省報道官オルワフェミ・アデニイ名義で発表された。
外務省、南ア発SA060便の114人が22日にラゴス到着と発表
外務省は今回の帰国便の搭乗者114人の内訳を男性57人、女性23人、子ども34人と集計した。外務省は、彼らが南アフリカで発生した「外国人排斥・アフリカ人排斥攻撃(xenophobic and Afrophobic attacks)」への懸念から帰国したと説明した。
空港では、外務省や国家緊急事態管理局(NEMA)、ナイジェリア出入国管理局(NIS)をはじめとする連邦機関の関係者が帰国者らを出迎えた。外務省は報道資料で、南アフリカの外国人排斥事態に対する「明確な非難(unequivocal condemnation)」の立場を再確認した。
外務省は南アフリカに滞在するナイジェリア人に対し、現地法を遵守して警戒を怠らず、身の安全を最優先にするよう呼びかけた。領事支援が必要な場合は、プレトリアのナイジェリア高等弁務官事務所またはヨハネスブルグの総領事館に連絡するよう案内した。
政府、6月10日の退避開始以来今回が16回目で累計2,151人と集計
外務省が集計した累計退避者数2,151人は、6月10日の作戦開始以降、約4カ月半の間に積み上がった数字である。外務省は今回のSA060便を16回目の帰国便として算定した。
帰国作戦はチャーター便と定期便を組み合わせて運用されてきた。初期の大規模輸送はナイジェリアの民間航空会社Air Peaceがチャーター便で担当し、人員が少ない回は南アフリカ航空の定期便で補った。今回の22日の帰国便も南アフリカ航空SA060便であった。
外務省は作戦初期から、プレトリア高等弁務官事務所、ヨハネスブルグ総領事館、ナイジェリア在外同胞委員会(NiDCOM)、国家緊急事態管理局(NEMA)、出入国管理局(NIS)、連邦空港公団(FAAN)、検疫所(Port Health Services)などが連携して動いてきたと発表してきた。帰国者の登録や出国手続き、入国後の検疫・受け入れがこれら各機関に分担して処理された。
9月16日の第12便帰国時、外務省は事態をECOWAS・アフリカ連合に提起したと明らかに
今回の退避の直前の集計は9月に出された。外務省は9月17日付の報道資料(MFA/PR/2026/239)で、南アフリカ航空SA060便により9月16日午後8時30分ごろラゴスに帰国した33人の到着を発表した。33人は成人17人と未成年者16人に分かれており、外務省はこの帰国便を12回目、累計退避者数を1,716人と集計した。9月16日の1,716人から10月22日の2,151人へと、約5週間の間にさらに4回の帰国便が運航され、435人増加した。
外務省は9月の資料で、南アフリカにおける「アフリカ人を標的とした外国人排斥・アフリカ人排斥攻撃の再発(renewed incidents of Xenophobic and Afrophobic attacks targeting Africans)」を退避の理由として挙げた。外務省はこの問題を西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)首脳会議体およびアフリカ連合(AU)総会に提起し、南アフリカ当局と追加措置を検討していると明らかにした。領事レベルの輸送が地域機関の議題に上がった。
連邦政府の全額負担は1,388人にとどまり、直近の便は民間寄付が補填
外務省は、これまでに帰国した2,151人のうち1,388人の帰国費用を連邦政府が全額負担したと明らかにした。この1,388人という数字は9月17日の資料にもそのまま記載されていた。当時、外務省は1,388人を累計1,716人の「約81%」と紹介していた。全額負担人員が1,388人にとどまる一方、総退避者数は1,716人から2,151人に増加し、政府が全額負担した割合は81%から65%未満に低下した。
政府負担枠外の航空運賃は民間からの寄付で補われた。10月23日の資料で外務省は、エノク・アデジャレ・アデボエ牧師が率いる神の救済キリスト教会(RCCG)が26万5,854ドルを拠出してナイジェリア人500人分の片道航空券を支援し、同教会が費用を負担した帰国者は今回の便を含め432人に達したと発表した。9月の33人帰国の際は、愛国ナイジェリア友好ビジネスフォーラム(PNGBF)と南アフリカ・ナイジェリア弁護士協会(NLASA)が航空券を提供した。6月24日に帰国した66人の航空運賃は、1人のナイジェリア人ボランティアが負担したと外務省は7月初旬に明らかにしていた。
ただし、外務省は10月23日の資料において、全額負担対象の1,388人がどの便にまたがっているのか、また民間寄付が補填した分と政府負担との境界がどこにあるのかは明らかにしていない。教会が約定した500人分と実際に執行された432人分との差である68人分がどのように充当されるのかも発表には含まれていない。
外務省、7月初旬の「退避前の金品要求」疑惑を「フェイクニュース」と否定
退避が1カ月以上続く中で、在外公館の費用処理を巡る疑惑も浮上した。外務省は7月2日付の報道資料(MFA/PR/2026/111)で、駐南アフリカ公館の職員が退避名簿に登録する前に金品を要求したという主張が流布されたことを受け、これを全面的に否定した。外務省は当該の主張について「それは完全に虚偽のフェイクニュースであり、破棄されるべきだ(That is totally false, fake news, and should be discarded)」と表明した。外務省はすべての特別退避便について「連邦政府が全額負担しており、帰国者には一切費用がかからない(fully paid for by the Federal Government and at no cost to the returnees)」と強調した。
同じ資料で外務省は退避対象の規模を明らかにした。自発的に登録し審査を経て確定した人員は計700人であり、7月2日までに593人が帰国し、約107人が残っていると集計した。しかし外務省は同資料で、7月3日に運航予定の次回帰国便の人数を271人と予告しており、これを加算すると700人を超えることになり数値が合致しない。登録対象700人とその後の実際の退避規模(10月22日までに2,151人)との乖離に対する説明も資料にはない。
第1陣の退避は6月11日、Air Peace便の258人で開始
帰国作戦の最初の輸送は6月11日に実施された。外務省によると、Air Peaceの特別チャーター機が同日午前10時25分ごろラゴスのムルタラ・モハンマド国際空港国際線ターミナルに到着し、第1陣の帰国者は258人であった。当時、ソラ・エニカノライエ外交担当国務相が空港で連邦政府を代表して帰国者らを出迎え、テミトペ・アレクサンダー・アジャイ駐南ア代理高等弁務官が現地で彼らを引率した。外務省は、ボラ・アフメド・ティヌブ大統領が帰国者らへの挨拶と激励の意を伝えたと発表した。
外務省は6月の第1陣退避時の報道資料で「いかなるナイジェリア人も、単に自らの国籍を理由に恐怖の中で暮らすことがあってはならない(No Nigerian should live in fear simply because of their nationality)」とし、「ナイジェリア連邦政府は、自国民が攻撃や嫌がらせを受けているのを傍観することはない(the Federal Government of Nigeria will not stand idly by while our citizens are subjected to attacks and harassment)」と表明した。
外務省は作戦開始日を6月10日としている。最初の帰国便がラゴスに到着した日付(6月11日)とは1日のずれがある。7月中旬に外務省が発表した累計集計表でも第1便は「6月10日 Air Peace」と記載されており、出発日と到着日の表記が資料ごとに食い違っている。
外務省集計では7月中旬までに7便で1,490人が帰国
外務省が7月14日に発表した報道資料(MFA/PR/2026/142)には、それまでの帰国便が表形式でまとめられている。外務省は7便にわたり1,490人が帰国したと集計した。表によると、第1便(6月10日、Air Peace)258人、第2便(6月24日、南アフリカ航空)66人、第3便(6月30日、Air Peace)272人、第4便(7月2日、Air Peace)268人、第5便(7月9日、Air Peace)282人、第6便(7月11日、南アフリカ航空)39人、第7便(7月15日、Air Peace)305人となっている。外務省は、第7便がヨハネスブルグのO・R・タンボ国際空港を現地時間午前6時30分に出発し、ラゴスのムルタラ・モハンマド国際空港に午前11時30分に到着したとし、搭乗人数は帰国者305人と政府関係者2人であると明らかにした。この資料は、発表日(7月14日)よりも後の7月15日の運航便を併記しており、日付が整合しない部分がある。
便ごとの数字も資料によって食い違っている。外務省は7月3日付の報道資料(MFA/PR/2026/115)で、Air Peaceの帰国便が同日午前10時40分にラゴスに到着し、帰国者は266人であると発表した。一方、7月14日の累計集計表には同時期の帰国便が「6月30日 272人」および「7月2日 268人」と記されており、便名、日付、人員が公式資料間で一致していない。外務省は7月14日の資料で「外国籍者に対するあらゆる形態の外国人排斥、人種的不寛容、暴力は容認できない(all forms of xenophobia, racial intolerance and violence against foreign nationals are unacceptable)」と表明した。
ナイジェリア政府、南ア当局に全外国人の保護と加害者の処罰を要求
外務省は10月23日の報道資料で、南アフリカ当局に対し、国籍を問わずすべての人を保護し加害者に責任を追及するよう促した。外務省は自国民の保護と福祉、尊厳を守るという立場を重ねて表明した。外務省は自国民の生命について「海外に居住するナイジェリア人の命は重要である(The lives of Nigerians living abroad matters)」と7月の資料で言明していた。
外務省は今回も帰国者の登録と輸送を継続すると明らかにした。ただし、南アフリカに現在も残っているナイジェリア人が何人いるのか、追加の帰国需要がどの程度あるのかについての数値は10月の発表にはない。作戦終了の時期や全体的な対象規模も資料には盛り込まれていない。外務省が6月以降16回にわたり2,151人を本国へ帰還させる間、南アフリカ国内の外国人排斥事態は、アフリカ域内の大国間における領事退避輸送を5カ月目に突入させることとなった。
出所 (KST)
- ナイジェリア外務省 · 報道資料 No. MFA/PR/2026/280 · 2026-10-23 · Nigeria Evacuates 114 More Distressed Nationals from South Africa · https://foreignaffairs.gov.ng/news/wp-content/uploads/2026/10/Press-Release-on-22-October-Evac.-from-SA.pdf
- ナイジェリア外務省 · 掲載 2026-10-23 · NIGERIA EVACUATES 114 MORE DISTRESSED NATIONALS FROM SOUTH AFRICA · https://foreignaffairs.gov.ng/news/nigeria-evacuates-114-more-distressed-nationals-from-south-africa/
- ナイジェリア外務省 · 報道資料 No. MFA/PR/2026/239 · 2026-09-17 · Nigeria Facilitates the Return of 33 Distressed Nationals from South Africa · https://foreignaffairs.gov.ng/news/wp-content/uploads/2026/09/Press-Release-on-the-Evacuation-of-33-Nigerians-from-SA.pdf
- ナイジェリア外務省 · 報道資料 No. MFA/PR/2026/142 · 2026-07-14 · Federal Government Has Evacuated 1,490 Nigerians from South Africa Following Xenophobic Attacks · https://foreignaffairs.gov.ng/news/wp-content/uploads/2026/07/Press-Release-No-2026-142.pdf
- ナイジェリア外務省 · 報道資料 No. MFA/PR/2026/115 · 2026-07-03 · Third Evacuation Flight from South Africa Operated by Air Peace Arrives in Lagos with 266 Returnees · https://foreignaffairs.gov.ng/news/wp-content/uploads/2026/07/Press-Release-No-2026-115.pdf
- ナイジェリア外務省 · 報道資料 No. MFA/PR/2026/111 · 2026-07-02 · Update on Evacuation of Nigerians from South Africa · https://foreignaffairs.gov.ng/news/wp-content/uploads/2026/07/Press-Release-No-2026-111.pdf
- ナイジェリア外務省 · 掲載 2026-06-11 · First Batch of 258 Nigerian Nationals Evacuated from the Republic of South Africa Arrived Safely in Nigeria · https://foreignaffairs.gov.ng/news/first-batch-of-258-nigerian-nationals-evacuated-from-the-republic-of-south-africa-arrived-safely-in-nigeria/