中国軍機、1日で29機が台湾周辺に 23機が海峡中間線越え…翌日は「0機」

台北
中国軍機29機が20日から21日にかけての24時間に台湾周辺で活動し、このうち23機が台湾海峡の中間線を越えて台湾側の空域に入った。台湾国防部は21日、空軍司令部のウェブサイトに掲載した「中共解放軍の台湾海峡周辺海・空域動態」で、集計期間を20日(火)午前6時から21日(水)午前6時まで(台湾時間)とし、このように発表した。同じ期間、中国海軍の艦艇6隻と公船(公務船)9隻も台湾周辺にとどまった。1日後の22日の発表では、軍用機は1機も探知されなかった。
台湾国防部、29機のうち23機が中間線を越え4方面の空域に進入と発表
台湾国防部は21日の発表で「偵獲共機29架次(逾越中線進入北部、中部、西南及東部空域計23架次)、共艦6艘及公務船9艘,持續在臺海周邊活動」と明らかにした。中国軍機29機(ソーティー)を探知し、このうち23機が中間線を越えて北部・中部・南西・東部の空域に入り、中国の軍艦6隻と公船9隻が台湾海峡周辺で活動を続けたという発表だ。台湾国防部空軍司令部の英語版発表は、同じ内容を「23 out of 29 sorties crossed the median line of the Taiwan Strait and entered Taiwan's northern, central, southwestern, and eastern ADIZ」と訳した。中国語版は「空域」、英語版は「防空識別圏(ADIZ)」という言葉を使った。
29機のうち中間線を越えた割合は79%に達する。台湾国防部は対応について「國軍運用任務機、艦及岸置飛彈系統嚴密監控與應處」と説明した。台湾軍は任務機と艦艇、沿岸配備のミサイルシステムを動員して中国軍の活動を厳重に監視し、対応した。英語版はこの対応手段を戦闘空中哨戒(CAP)機、海軍艦艇、沿岸ミサイルシステムと訳した。台湾国防部は、出動した中国軍機の機種や機数別の内訳、増加の理由を発表文の本文で明らかにしなかった。航跡は「台湾海峡周辺海・空域活動示意図」という画像ファイルで別途掲載した。
3日前に2機だった軍用機は5機、14機を経て29機に膨らむ
中国軍機の数は3日間で急増した。18日の発表(17日午前6時~18日午前6時)で探知された軍用機は2機で、2機とも中間線を越えて北部と中部の空域に入った。19日の発表では5機に増え、このうち3機が北部・中部・南西の空域に進入した。20日の発表では14機が探知され、8機が中間線を越えた。この時から進入空域に東部が再び加わった。21日の発表の29機は、18日の発表の14.5倍だ。
中間線を越えた機体だけを見ると、2機、3機、8機、23機の順に増えた。同じ4回の発表で、台湾周辺の中国海軍艦艇は5隻、6隻、7隻、6隻と大きな変化はなかった。公船は9隻、9隻、7隻、9隻だった。海上戦力は同程度の規模を保ったまま、航空活動だけが拡大した。
19日の発表は英語版と中国語版で数値が食い違う。英語版は「8 sorties of PLA aircraft」を探知したと記し、すぐ後に「3 out of 5 sorties crossed the median line」と書いた。中国語の原文は「偵獲共機5架次(逾越中線進入北部、中部及西南空域計3架次)」で、探知機数を5機としている。軍艦6隻と公船9隻は両版の数値が同じだ。
翌日の発表では軍用機は1機も確認されず
22日の発表では様相が変わった。台湾国防部は21日(水)午前6時から22日(木)午前6時までについて「偵獲共艦6艘及公務船7艘,持續在臺海周邊活動」と明らかにした。中国の軍艦6隻と公船7隻が台湾海峡周辺で活動を続けた。台湾国防部は続けて「上述期間未偵獲共機,故無提供航跡圖」とし、この期間に中国軍機を探知できなかったため航跡図を提供しないと付け加えた。
1日で軍用機は29機から0機に減ったが、海上戦力はそのまま残った。軍艦6隻は21日の発表と同じ数で、公船は9隻から7隻へ2隻減った。台湾国防部は22日の発表でも、台湾軍が任務機と艦艇、沿岸ミサイルシステムで監視と対応を続けていると明らかにした。英語版は、この期間に台湾周辺で活動した中国軍機が探知されなかったため飛行経路図を掲載しないと記した。台湾国防部は、軍用機が探知されなかった理由を明らかにしなかった。
13日分の発表で29機が最多
台湾国防部空軍司令部が10日から22日まで毎日出した発表13件で、1日の軍用機数は21機(10日)、12機(11日)、4機(12日)、5機(13日)、9機(14日)、15機(15日)、8機(16日)、9機(17日)、2機(18日)、5機(19日)、14機(20日)、29機(21日)、0機(22日)だった。21日の発表の29機は13件のうち最も多く、2番目に多い10日の発表の21機より8機多い。13件をすべて合わせると133機になる。
同じ期間、中国国防部のウェブサイトの報道官発表一覧には、11日に「国防部新闻发言人陈曦就赖清德发表所谓"双十"讲话答记者问(国防部の陳曦報道官、頼清徳氏が発表したいわゆる「双十」演説について記者の質問に答える)」という題の文章が掲載された。16日の一覧には「2026年10月中旬国防部例行新闻发布(2026年10月中旬の国防部定例記者会見)」とともに「日方唯有真诚悔罪 才能真正面向未来(日本は心から悔い改めてこそ、真に未来に向き合える)」という題の文章が掲載された。
中間線を越えたとされた機体も、21日の発表の23機が最多だった。10日の発表と15日の発表がそれぞれ13機で続いた。14日の発表(9機中9機)、16日の発表(8機中8機)、18日の発表(2機中2機)は、探知された機体すべてが中間線を越えた。11日と12日の発表は表現が異なる。両発表は「中間線を越え(逾越中線)」という言葉なしに、それぞれ5機と4機が「空域に進入した(進入…空域)」とだけ記した。
中国海軍艦艇は13件の間、5隻から10隻の間を行き来した。最も多かったのは15日の発表の10隻で、16日の発表の9隻が続いた。残りの発表ではおおむね6隻前後だった。
公船は2隻から9隻に増え台湾周辺にとどまる
公船は10日の発表から18日の発表まで着実に増えた。台湾国防部の発表に出た公船の数は、10日2隻、11日と12日各3隻、13日4隻、14日6隻、15日と16日各7隻、17日8隻だった。18日と19日の発表では9隻になった。その後は20日7隻、21日9隻、22日7隻と、7~9隻の水準が続いた。
10日の発表と比べると、22日の発表の公船は3.5倍だ。台湾国防部は発表のたびにこれらの公船が「台湾海峡周辺で活動を続けた(持續在臺海周邊活動)」と記したが、所属機関や船の種類、位置は明らかにしなかった。
台湾の海巡署(海洋委員会海巡署)は20日、「中國海警船關閉AIS侵擾東沙水域 海巡台中艦併航驅離 強勢廣播回擊統戰言論(中国海警船がAISを切って東沙水域に侵入、海巡の台中艦が並走して退去させる…強力な放送で統一戦線発言に反撃)」という題の報道資料を出した。同じ日には「颱風前夕中國漁船越界捕魚 澎湖海巡依法扣押帶回(台風前夜に中国漁船が越境操業、澎湖の海巡が法に基づき押収し連れ帰る)」という題の報道資料も出した。海巡署は21日と22日には台風「薔琵」に備える報道資料を相次いで出した。21日の報道資料の題は「強烈颱風「薔琵」逼近海象惡劣 海巡全面啟動防颱整備 闖岸際警戒區最高罰25萬」、22日の報道資料の題の一つは「強颱薔琵逼近北臺灣 海巡加強岸際巡查」だ。
中国外務省の毛寧報道官は19日の定例記者会見で、台湾当局が前日に台湾本島と東沙海域付近で中国の海警船・科学調査船・漁船16隻を退去させたと明らかにしたことについてコメントを求められ、「这不是外交问题(これは外交問題ではない)」と答えた。
進入空域は北部・中部・南西から東部まで広がる
中国軍機が入ってきた方向も発表ごとに異なった。10日から19日までに出た発表10件のうち、東部空域が含まれたのは14日と15日の発表の2件だ。残る8件は北部・中部・南西のうち一部だった。10日・12日・17日・19日の発表は北部・中部・南西の3方面を挙げ、11日の発表は南西の1カ所だけを記した。13日の発表は中部と南西、16日の発表は北部と南西、18日の発表は北部と中部だった。
20日と21日の発表では、2日連続で北部・中部・南西・東部の4方面がすべて名を連ねた。台湾国防部は21日の発表で、23機が4方面にどのように分かれて入ったかは明らかにしなかった。
同じ期間、日米共同統合演習「キーン・ソード27」が日本周辺で進行
中国軍機が大きく増えた時期は、日米の共同演習の日程と重なる。防衛省統合幕僚監部が9月29日に公開した資料によると、「キーン・ソード27(Keen Sword 27)」は10月19日(月)から29日(木)まで行われる。訓練場所は自衛隊施設と在日米軍の施設・区域、民間空港と港湾、日本国内の公有地・民有地、日本周辺の海・空域だ。自衛隊は人員約4万5000人、車両6100両、艦艇40隻、航空機260機を投入する。資料に名前が挙がった国は、日本と米国のほか、オーストラリア・カナダ・フランス・ドイツ・オランダ・ニュージーランド・フィリピンの7カ国だ。米軍の参加部隊としては「U.S. Pacific Command」と米太平洋陸軍、太平洋艦隊、太平洋空軍、太平洋海兵隊、在日米軍が、オーストラリア軍としては統合作戦司令部などが挙がった。統裁官は自衛隊側がTateki Tawara自衛隊統合作戦司令官(海将)、米軍側がスティーブン・ケーラー(Stephen Koehler)米太平洋艦隊司令官(海軍大将)だ。統合幕僚監部は、日米共同統合演習が1985年度に始まってほぼ毎年行われ、今年の実動演習が18回目だと明らかにした。
統合幕僚監部は演習の目的を「To train and verify Japan-U.S. joint responses in various contingencies and the JSDF's joint operations」と説明した。さまざまな事態における日米の共同対処と自衛隊の統合運用を訓練・検証し、日米の共同作戦能力を維持・向上させるという説明だ。主な訓練項目は15項目ある。統合防空ミサイル防衛訓練と日米共同の対艦攻撃作戦訓練が先頭に置かれ、陸上・海上・航空作戦、水陸両用作戦、サイバー攻撃対処、情報戦、統合通信、宇宙領域把握、電子戦、兵站、分散作戦、重要インフラ防護訓練と実験活動が続く。
キーン・ソード開幕の5日前にも、日米の戦闘機が東シナ海上空で共に飛行した。統合幕僚監部は15日の発表で、14日(水)に沖縄本島北西の東シナ海上空で日米共同訓練を行ったと明らかにした。航空自衛隊からは第9航空団のF-15戦闘機2機と警戒航空団のE-767早期警戒管制機1機が、米軍からはF-22戦闘機4機が参加し、各種戦術訓練を行った。統合幕僚監部は、この訓練で「力による一方的な現状変更を起こさせないとの日米の強い意志」と自衛隊・米軍の即応態勢を確認し、日米同盟の抑止力・対処力を一層強化したと明らかにした。
演習3日目の21日にも、中国軍の偵察機が日本の南西の空に現れた。統合幕僚監部は、同日午前から午後にかけて中国軍のY-9情報収集機1機が東シナ海から飛来し、沖縄本島と宮古島の間を通過して太平洋に出たと発表した。この機体は奄美大島沖まで飛行した後、再び沖縄本島と宮古島の間を通過して大陸方向に戻った。航空自衛隊南西航空方面隊は戦闘機を緊急発進させて対応した。
1日前の20日には、中国軍のY-9の2機が別々に飛来した。統合幕僚監部によると、午前から午後にかけてY-9哨戒機1機が東シナ海から沖縄本島と宮古島の間を通過して太平洋に出て、奄美大島沖まで飛行した後に反転し、同じ経路で戻った。午後にはY-9情報収集機1機が大陸から東シナ海に出て、長崎県男女群島の南の沖と沖縄本島北西の沖の間を往復飛行した。航空自衛隊は南西航空方面隊などの戦闘機を緊急発進させた。日本がY-9の2機に対して戦闘機を発進させた20日の日中は、台湾国防部が中国軍機29機を集計した期間(20日午前6時~21日午前6時)に含まれる。
キーン・ソード開幕直前、中国艦艇3隻が宮古島南方から東シナ海へ北上
海上でも、中国海軍の艦艇が演習開幕直前に日本の南西海域を行き来した。統合幕僚監部は19日の発表で、16日(金)午後4時ごろ、海上自衛隊が沖縄県宮古島の南約220kmの海域で中国海軍の艦艇3隻を確認したと明らかにした。ルーヤンⅢ級ミサイル駆逐艦(122)、ジャンカイⅡ級フリゲート(576)、フチ級補給艦(889)だ。3隻はこの海域を北東に航行した後、17日(土)に沖縄本島と宮古島の間の海域を北西に通過し、東シナ海へ向かった。鹿屋の第1航空群と那覇の第5航空群のP-1哨戒機2機が警戒監視と情報収集にあたった。
同じ日、別の艦艇群は反対方向に動いた。統合幕僚監部は、16日午後11時ごろ鹿児島県口永良部島の西約140kmの海域で、ルーヤンⅢ級ミサイル駆逐艦(121)とフユ級高速戦闘支援艦(901)が南東に航行するのを確認したと明らかにした。2隻は17日に大隅海峡を東に通過して太平洋に出た。佐世保の第3哨戒防備隊の護衛艦「みくま」と鹿屋の第1航空群のP-1哨戒機が監視にあたった。16日午前6時から18日午前6時までを対象とした台湾国防部の17日・18日の発表で、台湾周辺の中国軍艦はそれぞれ6隻と5隻だった。
出典(KST)
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