中国のY-9情報収集機・哨戒機、2日間で3機が東シナ海を越え太平洋まで 空自戦闘機が相次ぎ緊急発進

東京
中国軍のY-9系列の航空機3機が20日と21日の2日間にわたり東シナ海と太平洋の上空を飛行し、航空自衛隊の戦闘機が緊急発進した。防衛省統合幕僚監部は23日の2件の発表で、20日(火)にY-9哨戒機1機とY-9情報収集機1機を、21日(水)午前から午後にかけてY-9情報収集機1機を東シナ海と太平洋の上空で確認したと明らかにした。統合幕僚監部は同日、ロシアのIL-20情報収集機1機が17日(土)に日本海上空を飛行したことも併せて公表した。
20日には中国のY-9哨戒機と情報収集機が太平洋上空まで飛来
統合幕僚監部が23日に出した最初の発表資料の題名は「日本周辺における中国航空機の活動」だ。資料によると、航空自衛隊は20日、東シナ海と太平洋の上空で中国航空機を捕捉し、航空自衛隊の戦闘機が緊急発進してこれらの航空機の活動を監視した。資料に載った機体はY-9哨戒機(patrol aircraft)1機とY-9情報収集機(intelligence-gathering aircraft)1機だ。
同じY-9系列だが、2機は任務区分が異なって表記された。統合幕僚監部は2機の写真を別々に掲載し、一方を哨戒機、もう一方を情報収集機と記した。2機が同じ時間帯に共に飛行したのか、飛行時刻がいつだったのかは、公開された英文資料の本文には記されていない。資料は飛行経路を「活動概要」の添付図で示した。緊急発進した戦闘機の機種と機数も明らかにしなかった。
発表は飛行の3日後の23日に出た。英文資料の分類題名は「事案概要/中国軍の活動(Event Summary/Chinese Military Activities)」だ。
21日にはY-9情報収集機1機が午前から午後にかけて飛行
2件目の発表は21日の飛行を扱った。統合幕僚監部は、21日午前から午後にかけてY-9情報収集機1機が東シナ海と太平洋の上空を飛行し、航空自衛隊の戦闘機が緊急発進して監視したと明らかにした。前日に共に現れた哨戒機はこの日の資料にはない。
これで20日と21日の2日間に確認されたY-9系列の機体は計3機となった。Y-9情報収集機は2日連続で東シナ海と太平洋の上空に現れ、日本の戦闘機も2日連続で出動した。2件目の資料も飛行経路を添付図でのみ示した。飛行の時間帯も異なった。21日の飛行と14日のY-9・無人機の飛行は午前から午後にかけて続き、8月12日と8月25日のY-9情報収集機の飛行は午後だった。
Y-9は先週も無人機2機とともに出現
Y-9情報収集機は1週間前にも日本周辺に現れた。統合幕僚監部は16日の発表で、14日(水)午前から午後にかけて東シナ海と太平洋の上空で中国航空機3機を捕捉したと明らかにした。3機はY-9情報収集機1機、WZ-7偵察無人機1機、そして中国の無人機と推定される1機だ。統合幕僚監部は3機目の無人機の所属、機種、機数をいずれも「推定」と表記した。この時も航空自衛隊の戦闘機が緊急発進した。
有人の情報収集機と無人偵察機が同じ日に東シナ海と太平洋の上空に共に現れた。統合幕僚監部は資料に、航空自衛隊が撮影したY-9とWZ-7の写真を並べて掲載した。
同じ14日、東シナ海では日米共同訓練も行われた。統合幕僚監部の15日の発表によると、航空自衛隊第9航空団のF-15戦闘機2機と警戒航空団のE-767早期警戒管制機1機、米軍のF-22戦闘機4機が同日、沖縄北西の東シナ海上空で戦術訓練を行った。統合幕僚監部は、この訓練で力による一方的な現状変更を容認しないという日米の意思を再確認したとした。統合幕僚監部は2件の発表で、中国機の飛行と日米訓練の関連性に言及しなかった。
Y-9情報収集機の飛行、今年度上半期は男女群島南方~沖縄本島沖で継続
Y-9情報収集機の東シナ海での飛行は今年度上半期にも繰り返された。統合幕僚監部が16日に公開した「2026年度上半期までの緊急発進実施状況について」の資料は、上半期の特徴として、中国のY-9情報収集機による東シナ海での飛行(9月には5日連続で確認・公表)を挙げた。
資料に載った公表事例を見ると、Y-9情報収集機は5月28日、7月6日、8月12日、8月19日、8月25日に、東シナ海の男女群島南方と沖縄本島沖の間を飛行または往復した。9月には3日から7日まで5日連続で同じ区間を飛行し(6・7日は往復)、9日にも男女群島南西沖を往復した。6月12日と8月18日には、TB-001偵察・攻撃型無人機1機が同じ空域で共に確認された。
上半期の事例の飛行区域はすべて東シナ海だった。統合幕僚監部は8月14日の発表で、12日(水)午後にY-9情報収集機1機が東シナ海上空を飛行し戦闘機が緊急発進したと明らかにし、8月26日の発表でも25日(火)午後の飛行区域を東シナ海とした。今回の20日と21日の飛行、14日の3機の飛行は東シナ海と太平洋の上空にまたがっていた。8月の飛行は2日後か翌日に公表され、20日の飛行は3日後に公表された。
資料は領空侵犯の事例もまとめた。1967年以降に公表された領空侵犯は計49件で、このうちロシア(旧ソ連を含む)が44件、中国が4件、台湾が1件だ。中国の4件は、2012年12月13日のY-12 1機(尖閣諸島魚釣島南方の領海上空)、2017年5月18日の小型無人機1機(魚釣島西方の領海上空)、2024年8月26日のY-9 1機(長崎県男女群島の領海上空)、2025年5月3日のヘリコプター(魚釣島南方の領海上空)で、このヘリの件がリストの最新事例だ。内倉統合幕僚長は4月の会見で、このヘリは尖閣諸島周辺の日本領海に侵入した中国海警局の船から離陸したと説明した。2026年に入って公表された領空侵犯は資料にない。
中国空母「遼寧」の艦隊と駆逐艦・補給艦も先週日本周辺を通過
航空機の活動と同じ期間、中国海軍の艦艇も日本周辺の海域を相次いで通過した。統合幕僚監部は16日の発表で、13日(火)午前11時ごろ、男女群島の南西約390キロの海域を南に航行する中国海軍艦艇4隻を海上自衛隊が捕捉したと明らかにした。4隻はクズネツォフ級空母「遼寧」(艦番号16)、レンハイ級駆逐艦2隻(103・104)、ルーヤンIII級駆逐艦1隻(123)だ。
これらの艦艇は14日、沖縄本島と宮古島の間の海域を通過し、南東の太平洋に出た。海上自衛隊は同日、石垣島の南約250キロの海域で遼寧の艦載戦闘機の発着艦を確認し、航空自衛隊の戦闘機が艦載機に対応して緊急発進した。統合幕僚監部は19日の追加発表で、14日に遼寧で艦載戦闘機とヘリコプターの発着艦を約10回確認し、15日に4隻が南シナ海方面に向かうのを確認したと明らかにした。
遼寧が沖縄本島と宮古島の間を通過したのは今年初めてではない。統合幕僚監部の6月23日の発表によると、遼寧はレンハイ級駆逐艦(104)、ルーヤンIII級駆逐艦(124)とともに6月20日0時ごろ、宮古島の東約130キロの海域を北西に航行し、沖縄本島と宮古島の間を通過して東シナ海に入った。同じ艦艇は先立つ5月25日に太平洋を航行し、5月26日から28日まで艦載戦闘機とヘリコプターの発着艦を行い、5月29日にはフィリピン東方の海域を南東に航行した。
続いて20日の発表では、別の艦艇2隻の移動が公開された。海上自衛隊は16日(金)午後11時ごろ、口永良部島の西約140キロの海域を南東に航行するルーヤンIII級駆逐艦(121)とフユ級高速戦闘支援艦(901)を捕捉した。2隻は17日、大隅海峡を東に通過して太平洋に入った。海上自衛隊は2隻を引き続き監視したと統合幕僚監部は明らかにした。
中国艦艇が日本列島の間の海域を行き来することは夏の間ずっと続いた。統合幕僚監部の7月8日の発表によると、ジャンカイII級フリゲート(599)は6月26日に沖縄本島と宮古島の間を南東に、ルーヤンII級駆逐艦(153)は6月29日に大隅海峡を東に通過した。2隻は7月7日(火)午前4時ごろ、奄美大島の北東約50キロの海域を西に航行し、奄美大島と横当島の間を通過して東シナ海に入った。統合幕僚監部の8月26日の発表によると、8月22日(土)午前5時ごろ、ルーヤンIII級駆逐艦(159)とジャンカイII級フリゲート(537)は久米島の南西約90キロの海域から、ルーヤンIII級駆逐艦(133)とジャンカイII級フリゲート(535)は久米島の西約70キロの海域から、それぞれ南下し、沖縄本島と宮古島の間を通過して太平洋に出た。同じ4隻は9月15日(火)に戻ってきた。159・537は午前7時ごろ都井岬の南東約50キロの海域で捕捉された後、大隅海峡を西に通過して東シナ海に入り、133・535は午前10時ごろ奄美大島の北東約100キロの海域で捕捉された後、奄美大島と横当島の間を通過して東シナ海に入ったと統合幕僚監部は9月18日に明らかにした。
ロシアのIL-20情報収集機も17日に日本海上空を飛行
日本周辺を行き来したのは中国機だけではない。統合幕僚監部は23日の別の発表で、17日午前から午後にかけてロシアのIL-20情報収集機1機が日本海上空を飛行し、航空自衛隊の戦闘機が緊急発進したと明らかにした。資料の題名は「日本周辺におけるロシア航空機の活動」で、公表は飛行の6日後だった。
IL-20の日本海での飛行も今年繰り返されている。上半期の緊急発進資料は上半期の特徴として、ロシアのIL-20情報収集機による日本海と太平洋方面での飛行と、中国のH-6爆撃機とロシアのTu-95爆撃機による長距離にわたる共同飛行も挙げた。資料には4月7日、5月21日、5月22日、7月24日、7月27日、8月10日、8月11日、8月21日、9月5日、9月25日などのIL-20の飛行が事例として載った。5月22日、7月24日、9月5日には日本海からオホーツク海と太平洋側を行き来する飛行もあった。中ロの共同飛行もあった。資料によると、6月27日、東シナ海から日本海に出た中国の爆撃機などが日本海でロシアの爆撃機などと合流した後、東シナ海まで共に飛行した。続いて日本海から出たロシアの爆撃機などが東シナ海で中国の爆撃機などと合流し、沖縄本島と宮古島の間を通過して四国沖の太平洋まで長距離を共に飛んだ。資料に載った参加機体は、中国のH-6爆撃機2機とJ-16戦闘機、ロシアのTu-95爆撃機2機、Tu-142哨戒機2機、Su-35戦闘機1機だ。7月21日にはロシアのTu-95爆撃機1機とSu-35戦闘機1機が日本海を飛行した。
中ロ爆撃機の長距離共同飛行は初めてではない。内倉統合幕僚長は4月の会見で、2025年12月にも中国軍とロシア軍の爆撃機が太平洋上空を四国沖まで長距離にわたって共同飛行したと明らかにした。
航空自衛隊の上半期の緊急発進は442回 前年同期比177回増
統合幕僚監部によると、2026年度上半期(4月1日~9月30日)の航空自衛隊の緊急発進は442回で、前年同期の265回より177回増えた。このうち中国機に対するものが285回(前年同期198回)、ロシア機に対するものが152回(59回)だった。北朝鮮機に対するものは0回、その他は5回(8回)だった。方面隊別では南西航空方面隊が201回(前年同期189回)で最も多く、西部航空方面隊は102回で前年同期の14回から大幅に増えた。
資料の年度別の表によると、緊急発進は2022年度778回、2023年度669回、2024年度704回、2025年度595回だった。内倉統合幕僚長は4月17日の会見で、2025年度の緊急発進は合計595回に達し、引き続き高い水準で推移していると述べた。統合幕僚長は、自衛隊が同盟国・同志国との連携を強化しつつ、引き続き警戒監視に万全を期し、厳正に対領空侵犯措置を行っていくとした。中国の無人機については、2025年度は16回の公表を行ったとし、前年度より7回減ったと説明した。同じ会見で記者が示したロシア機に対する緊急発進の数値(2023年度174回、2024年度237回、2025年度214回)については、推移は質問の通りだと答えた。記者は2025年度の中国機に対する緊急発進が366回で前年度より100回近く減ったとして、中国側の活動の変化によるものか、自衛隊の運用の変化によるものかを尋ねた。統合幕僚長は、中国軍の活動と緊急発進の回数との関連性を確定的に述べるのは困難だとし、こちらの対応の手の内を明かすことになるとの理由で回答を控えた。
10月に入っても、Y-9や無人機、空母艦隊の日本周辺での活動の公表が1週間のうちに相次いだ。小泉防衛相は23日の閣議後の会見で、中国の砂漠の構造物に関する質問を受け、指摘された件を含む個別の内容の評価は控えるとしつつも「中国が我が国周辺での軍事活動を拡大・活発化させていることは事実です」と述べた。さらに、こうした中国の軍事動向は日本と国際社会の深刻な懸念だとして、強い関心を持って注視しながら冷静かつ毅然と対応するとした。
出典(KST)
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- 統合幕僚監部 · 2026-10-23 · Event Summary/Chinese Military Activities: Chinese aircraft activity around Japan(10/21 Y-9情報収集機1機) · https://www.mod.go.jp/js/pdf/2026/p20261023_02e.pdf
- 統合幕僚監部 · 2026-10-23 · Event Summary/Russian Military Activities(10/17 IL-20) · https://www.mod.go.jp/js/pdf/2026/p20261023_04e.pdf
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- 統合幕僚監部 · 2026-10-19 · Event Summary/Chinese Military Activities(遼寧の艦載機発着艦・南シナ海方面への移動) · https://www.mod.go.jp/js/pdf/2026/p20261019_01e.pdf
- 統合幕僚監部 · 2026-10-20 · Event Summary/Chinese Military Activities(駆逐艦121・高速戦闘支援艦901) · https://www.mod.go.jp/js/pdf/2026/p20261020_02e.pdf
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- 統合幕僚監部 · 2026-06-23 · Event Summary/Chinese Military Activities(6/20 遼寧など3隻) · https://www.mod.go.jp/js/pdf/2026/p20260623_03e.pdf
- 統合幕僚監部 · 2026-07-08 · Event Summary/Chinese Military Activities(7/7 駆逐艦153・フリゲート599) · https://www.mod.go.jp/js/pdf/2026/p20260708_02e.pdf
- 統合幕僚監部 · 2026-10-15 · 日米共同訓練について(10/14 東シナ海での戦術訓練) · https://www.mod.go.jp/js/pdf/2026/p20261015_01e.pdf
- 防衛省 · 2026-10-23 08:42~08:47 · 防衛大臣記者会見 · https://www.mod.go.jp/j/press/kisha/2026/1023a.html
- 統合幕僚監部 · 2026-04-17 14:00~14:22 · 統合幕僚長記者会見 · https://www.mod.go.jp/js/about/message/2026/0417.html