超広域特区法、「年内制定」の期限を約2か月前に控え議員発議…特例数も「約300件」「約320件」で食い違い

ソウル
政府が年内の制定を約束していた超広域特区法が、期限まで残り2カ月あまりとなった10月20日になってようやく国会に提出された。政府提出案ではなく、朴商赫(パク・サンヒョク)議員が発議した法案である。政府は23日、青瓦台(大統領府)迎賓館で開かれた規制合理化委員会第2回全体会議に合わせて、同法に「単一の法律としては過去最大規模となる約320件のメニュー方式の規制特例」を盛り込んだと発表した。同日に李在明(イ・ジェミョン)大統領の発言を伝えた「政策ブリーフィング」の記事では、同じ特例が約300件と記載されていた。特区を何カ所指定するのか、財政や税制面でどの程度の支援を行うかについて、政府の発表資料に具体的な数字はない。
政府は4月に「年内制定」を約束、法案は10月20日になってようやく国会へ
超広域特区はもともと「メガ特区」という名称でスタートした。最初の舞台となったのは、4月15日午前に青瓦台の忠武室で大統領主宰のもと開かれた第1回規制合理化委員会だった。産業通商部が同日配布した参考資料は、「仮称『メガ特区特別法』を国会との協議を通じて2026年年内に制定する計画だ」と明らかにした。同資料は「法制定後、メガ特区の指定を迅速に推進する予定」とも記していた。メガ特区は「5極3特と連携し、地域経済の成長と国家戦略産業の育成を図る大規模な中核成長拠点」として紹介された。4月の案は、広域・超広域単位で少数の核心戦略産業を指定し、企業と地域が現場の需要を反映して直接設計する方式を打ち出していた。
5月28日に産業通商部が出した政府発足1周年成果の報道資料も、仮称「メガ特区の指定及び管理に関する特別法」を「制定する予定」と記すにとどまっていた。同資料は「5極3特の成長エンジンの選定とともに、これを後押しするための汎政府支援パッケージを用意し」としていた。7月22日には、有期契約労働者の使用期間延長や研究開発(R&D)人員に対する週52時間制の適用除外といった特例内容を巡る報道が出ると、産業通商部が説明資料を出した。産業通商部は「地域の成長と投資促進に向けた規制特例及び支援策に関して多様な意見を収れんしている過程にあり」、「まだ具体的な内容が確定したわけではないため、報道には慎重を期していただくようお願いします」と釈明した。
政府が10月23日に示した定義はこうだ。超広域特区とは「5極3特の成長エンジンの育成と大規模な企業投資の誘致などのため、企業と地域が要求する最高水準の規制特例と汎政府的な政策支援を総合的に提供する中核拠点」である。4月のメガ特区の説明にあった「最高水準の規制特例」と「汎政府支援」という2つの柱がそのまま盛り込まれた。
法案が実際に提出されたのは10月20日(火)である。雇用労働部の参考資料によると、正式名称は「地方主導の成長に向けた超広域圏戦略産業特区の指定及び運営に関する特別法案」で、朴商赫議員が発議した。政策ブリーフィングの記事は、政府を主語にして「去る20日に超広域特区法を発議しており」と記述した。国会が年内に常任委員会の審査と本会議での議決まで終えてこそ、4月の約束が守られることになる。
特例の数は同日の政府メディア内でも「約320件」と「約300件」に分かれる
政策ブリーフィングは23日、政府発表の記事の見出しを「政府、『超広域特区法の制定』を推進…過去最大となる約320件の規制特例を盛り込む」とした。本文には、この特例が「インフラ構築、生産施設の設置、人材誘致、定住環境など企業活動を全方位で支援する」と記された。
同日、政策ブリーフィングが大統領の発言をまとめた記事は、李大統領が超広域特区法について、単一の法律としては過去最大規模となる約300件の規制特例が盛り込まれていると紹介し、国会による迅速かつ綿密な審査を求めたと伝えた。1つの会議を巡って、政府系メディアの2本の記事で数字が食い違ったのである。
数字を前面に押し出した広報は、政府が4月に自ら掲げた原則とも矛盾する。4月15日の資料は、規制の撤廃・緩和件数といった量的な目標から脱却し、成果中心に目標を転換すると述べていた。同資料は規制構造改革の5つの方向性の1つとして「成果志向の規制合理化」を挙げた。4月の資料は特例の水準を「最高水準の規制特例」と記載し、個数は記していなかった。李大統領も23日の会議で「何件の規制を改善したかも重要だが、規制を変えることでどれほど多くの投資、創業、雇用を生み出したかも重要だ」と述べていた。だが、この日の発表の見出しを飾った数字は、まさに特例の件数だった。
特区が何カ所、予算がいくらかの数字はなく「来年上半期の指定」のみ残る
政府は「来年上半期に全国の各地域圏で超広域特区を指定できるよう、関連手続きを推進する」と明らかにした。指定の手続きは、地方政府と企業が特区計画を策定して申請すると、委員会の審議・議決、国務総理(首相)の承認、産業通商部長官による指定の順に進められる。4月の案には国務総理の承認段階はなく、規制特例は規制合理化委員会が、特区計画全体は地方時代委員会が審議・議決する構造だった。
支援内容は4月と大きく変わっていない。10月の資料は「財政・金融・人材・インフラ・税制など汎政府的な政策支援パッケージ」を提供するとした。4月の資料も財政・金融・税制・人材・インフラ・技術創業・制度の7大分野パッケージを列挙していた。4月の資料にはバイオメガ特区に「1兆ウォン規模のメガファンド組成」と金額が明記されていた。これに対し、10月の発表記事に登場したウォン建ての金額は、医療データの遠隔分析環境の導入によって「人件費や移動費など581億5000万ウォンを削減する」という費用削減の試算値にとどまる。
4月資料の支援項目も、大部分は事業名が並んでいる程度だった。財政分野には大規模投資の際に給付する「成長エンジン特別補助金」の新設、人材分野には拠点国立大学への成長エンジン単科大学および融合研究院9カ所の新設、技術・創業分野には創業都市10カ所の造成が盛り込まれていた。
指定対象は「全国の各地域圏」である。政府は「超広域特区法の制定手続きと並行して、施行令の策定、地域圏別の指定分野の協議、特区計画の樹立など関連手続きも並行して進める」と述べた。
労働部は労働時間の特例が法案に盛り込まれたとし、産業部は「検討する」と説明
労働特例を巡っては、省庁間で説明が食い違っている。雇用労働部は法案が発議された20日、「『超広域特区法』の労働特例、社会的対話を通じて合理的な方策を用意します」と題した参考資料を出した。雇用労働部はこの資料で、発議された法案に「特区内の労働時間および有期雇用など労働関連の特例条項が含まれており」と明らかにした。同部は労働特例条項を除いた法案も別途発議される予定だと説明した。
雇用労働部は、労使と関係省庁が参加する「ワンポイントの社会的対話」を進めているとした。9月18日に次官級の事前準備会議を開き、その後室長級の実務協議体を5回開いた。同部は「社会的対話の期限をあらかじめ定めずに」議論するとした。対話の結果は国会の法案審査に反映されるよう国会と緊密に協議するとした。政府側は十分な議論を経て、先端産業の競争力強化と持続可能な労働環境の整備に資する方策を用意したいという立場だ。
その3日後に産業通商部が出した半導体規制合理化の参考資料は、超広域特区法を「メニュー方式の規制特例、需要対応型の規制猶予など広範な規制特例を付与し、汎省庁のオーダーメイド型パッケージを支援する」法律として紹介した。同資料は「超広域特区内の半導体コアR&D人員の労働時間特例を検討する」と記した。雇用労働部が発議法案にすでに含まれていると明らかにした労働時間特例が、産業通商部の資料では検討課題として残っている。年内制定を約束した法律の労働特例条項が、期限を定めない社会的対話に足止めされている状態だ。労働時間の特例が外れた別個の法案まで提出されれば、国会は同じ特区を巡って内容の異なる法案を同時に審査することになる。
既存特区129カ所のうち39カ所は実績のない「幽霊特区」と指摘
新たな特区が従来の特区の二の舞を演じないかも課題だ。科学技術政策研究院(STEPI)は7月27日に発表した「5極3特の超広域メガ特区推進に向けた革新特区の改善方策」で、「既存の特区は量的に急増(129カ所、累計2085件)したものの、役割と機能は期待に及ばなかった」と診断した。
報告書は「129カ所のうち39カ所(30.2%)が指定・運営実績のない『幽霊特区』である」と指摘した。法人税減免の恩恵を受けた企業は110社にとどまり、対象となる1337社の7.8%に過ぎなかった。報告書は代表的な革新特区である研究開発特区と規制自由特区を行為者中心制度論の観点から分析した。報告書は「実証ベースの規制改善課題のうち、実際に法令改正に至ったのは3件にとどまった」と記した。報告書は、特区の実効性低下は制度自体の失敗ではなく、成果が制度化・事業化へと波及しないことに起因すると分析した。そして、メガ特区が既存の特区を統括・連携する上位プラットフォームとして機能するためには、「既存の特区制度の構造的限界を診断し改善することが先行されねばならない」と提言した。
政府が今回あわせて打ち出した規制サンドボックスの改編は、「審議期間の短縮、実証期間の柔軟化、手続きの簡素化」を掲げた。実証を迅速に開始させることに主眼がある。実証課題のうち法令改正にまで進んだものが3件だったという研究機関の指摘とは、照準を合わせている段階が異なっている。
制度の骨格も4月の案と同じだ。4月の資料はすでに、企業と地方政府が選択する「メニュー方式の規制特例(ready-made)」、メニューにない規制を要請に応じて排除・緩和する「需要対応型規制猶予(on-demand)」、大規模実証と審議期間の短縮を盛り込んだ「UPGRADE規制サンドボックス」を3つの柱として打ち出していた。10月の発表はこの3本柱をそのまま踏襲し、特例の件数を付け加えただけである。メニューにない規制を猶予する期間は、10月の発表では「一定期間」と記された。
分野の構成には変化があった。4月のメガ特区推進方策はロボット、再生可能エネルギー、バイオ、AI自動運転車の4分野を例に挙げた。再生可能エネルギーの直接取引の許可、自家用再生可能エネルギー取引の自由化、市・道知事への自動運転車臨時運行許可権限の付与といった課題だった。ロボットでは無人消防ロボットの道路走行や屋外移動ロボットの屋外広告・公園内営業の許可を、バイオでは先端再生医療の審議手続き緩和や分散型臨床試験の特例を盛り込んだ。10月の政策ブリーフィング記事の産業別課題は、ロボット・半導体・AIデータセンター・自動運転車・バイオの5分野に整理された。4月の案は広域・超広域単位で少数の核心戦略産業を指定するとしていたが、10月の発表は「全国の各地域圏」に特区を指定するとした。各地域圏にどの産業を担わせるかは、「地域圏別の指定分野の協議」段階へと先送りされた。
大統領は地方均衡と「先行的改善」を掲げ国会に協力を要請
政府と大統領は、超広域特区を首都圏集中を解消する核心手段と位置付ける。政策ブリーフィングは、李大統領が3大メガプロジェクトと超広域特区を「首都圏集中と地方消滅の悪循環を断ち切るための重要な国家核心戦略」として提示したと伝えた。李大統領は「法制定の前であってもできることがあるはずだ」とし、「そうした事案は規制合理化委員会で迅速かつ先行的に改善してほしい」と語った。
李大統領は「新技術や新産業の発展を阻む、あるいは時代遅れの不都合な規制は迅速かつ果敢に改善していかねばならない」とした上で、「規制合理化は代替不可能な大韓民国をつくるための必須課題だ」と述べた。さらに「規制合理化の分野では、規制の主体よりも規制の対象、あるいは中立的な立場にある方々の見解が極めて重要だ」とも強調した。一方で、規制緩和の限界線も引いた。大統領は「国民の生命と安全、財産を守り、公正性と透明性を確保するための規制は絶対に必要だ」と述べた。この日の会議には大統領主宰のもと、国務総理や民間委員、現場の専門家ら約100人が出席した。政府は今年2月、28年ぶりに委員長を国務総理から大統領に格上げしたと発表している。4月の資料によると、2月19日に施行された行政規制基本法の改正に伴い、委員会の名称も規制合理化委員会に変更された。同資料によると、委員定数は最大25人から50人に増員され、民間委員28人が成長・民生・地域の各分科に配置された。
政府は法制定とは別に、産業別の課題も打ち出した。半導体産業団地には許認可・補償・設計を同時に迅速推進するファストトラックを適用し、造成期間を「最大限10年以上から半分に短縮」するとした。半導体工程用の高圧ガス特例告示は来年1月までに策定する。一定の要件を満たした地方の半導体企業は、事前承認を受けた品目を先に輸送し、移動中に輸出申告を行えるようになる。産業通商部は、半導体クラスターが超広域特区に指定された場合、半導体特別法による許認可のみなし処理に加え、追加の許認可を一括処理できるよう超広域特区法に反映させる方針を示した。
AIデータセンターは許認可を一括処理し、無人設備を規模算定から除外することで建築物規制を「最大3分の1水準に緩和」する。非首都圏における電力系統影響評価の免除基準も検討する。自動運転車は企業間(B2B)の正式販売を認め、国際基準(ADS)を導入する。政府はこれを通じて「5万人以上の新規雇用」を創出するとした。無人自動運転の法体系を整え、充電や車庫への回送といった例外的な事由に限り実証運行地区外の運行も認める。レベル4以上の無人サービスを制度化し、データの国内保管を義務付ける。ロボット分野では移動式産業用ロボットの安全柵設置免除のガイドラインを来年第1四半期までに出し、ヒューマノイドの安全ガイドを産業通商部と雇用労働部が年内に共同開発する。屋外移動ロボットの運行安全基準も策定する。
バイオ分野では、外部から遠隔で医療データを分析できるよう遠隔分析環境の基準を設ける。581億5000万ウォンの削減試算はこの課題から算出されたものだ。さい帯血バンクなどに保管された細胞を先端再生医療の臨床研究や治療に利用できるようにする根拠も整備する。AIを活用した医薬品審査ガイドラインは年内に策定する。投与経路が同一で剤形の違いが軽微な一般用医薬品を開発する際には、提出資料を簡素化する。これらの課題の相当数は、ガイドラインや告示、基準を策定する段階にとどまっている。
出典(KST)
- 政策ブリーフィング 政策ニュース · 2026-10-23 · 政府、「超広域特区法制定」を推進…過去最大の約320件の規制特例盛り込む · https://m.korea.kr/news/policyNewsView.do?newsId=148974194&pageIndex=1&cateId=&repCode_P=&smenu=EDS01
- 政策ブリーフィング 政策ニュース · 2026-10-23 · 李大統領「新産業阻む古い規制を果敢に改善…必要な規制は強化」 · https://m.korea.kr/news/policyNewsView.do?newsId=148974225&pageIndex=1&cateId=&repCode_P=&smenu=EDS01
- 雇用労働部 参考資料 · 2026-10-20 · 「超広域特区法」労働特例、社会的対話を通じて合理的な方策を用意します · https://www.moel.go.kr/news/enews/report/enewsView.do?news_seq=20118
- 産業通商部 参考資料 · 2026-10-23 · 半導体競争は「時間」の戦いへ変遷、半導体規制合理化で投資・研究・支援の時間を再設計する · https://www.motir.go.kr/kor/article/ATCL3f49a5a8c/172327/view?mno=&pageIndex=1
- 産業通商部 参考資料 · 2026-04-15 · 28年ぶりの規制改革体系全面改編、大統領主宰の第1回「規制合理化委員会」開催 · https://www.motir.go.kr/kor/article/ATCL3f49a5a8c/171735/view
- 産業通商部 報道資料 · 2026-05-28 · 危機は徹底管理、成長の機会は果敢に先取り · https://www.motir.go.kr/attach/down/e258a4a9a6760923ac9cd310f7a71e4c/2d07cb34f59f6396335756d4bc732fce
- 産業通商部 報道説明資料 · 2026-07-22 · 仮称「メガ特区特別法」の具体的内容は確定していません · https://www.motir.go.kr/kor/article/ATCLe0854704d/172040/view
- 科学技術政策研究院(KDI経済情報センター掲載) · 2026-07-27 · 5極3特の超広域メガ特区推進に向けた革新特区改善方策 · https://eiec.kdi.re.kr/policy/domesticView.do?ac=0000206480&pg=&pp=&issus=O