NATO事務総長、エストニアの中核国防費が対GDP比5%を超過したと表明

エストニア
北大西洋条約機構(NATO)のマルク・ルッテ事務総長は2026年10月14日、エストニアのタリンでクリステン・ミハル首相と共同記者会見を開き、エストニアの今年の中核国防費が国内総生産(GDP)の5%を超えたと明らかにした。ルッテ事務総長はこの比率がNATO全体で最も高い水準の一つであると述べた。同氏は、エストニアが約束を守るにとどまらず基準を打ち立てていると評価した。記者会見は、NATOがエストニアを空、陸、海で共に防衛しており、エストニアも同盟を強化しているというメッセージで構成された。
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防空の舞台となったのはアマリ空軍基地であった。ルッテ事務総長は9月1日、ドローンがエストニア国境を越えた後、アマリからトルコ戦闘機が緊急発進(スクランブル)したと明らかにした。同氏はこの緊急発進について、任務が本来の役割を果たしたものであると説明した。NATOは東部戦線全域で統合防空・ミサイル防衛を強化し、あらゆる空中脅威に対してより大きな保護を提供していると表明した。事務総長は、この防空の盾がエストニアおよびバルト地域を越えて維持されると述べた。緊急発進は、輪番制で空の警備を担当する方式が言葉だけのものではないことを示した。外国の戦闘機が他国の基地から飛び立つ任務が、通常の訓練通りに機能したのである。
地上では、英国が率いる前方地上軍がタパに駐留し、エストニアの防衛を担っている。ルッテ事務総長は、英国主導の前方地上軍をエストニアが受け入れたことに謝意を表した。今年7月からは、ドイツ・オランダ第1軍団がエストニアおよびラトビアの地上防衛の戦術指揮を担当した。海では、バルト海哨戒活動である「バルティック・セントリー」が、重要な海底インフラを含む潜在的脅威に対する警戒を継続している。空、陸、海の話が単一の記者会見で網羅されたのはこのためだ。いずれか一つの領域を防ぐだけでは国を守り切ることはできないからである。
エストニアによる同盟への貢献も併せて列挙された。エストニアにはサイバー防衛協力センター(CCDCOE)が置かれており、NATOのイノベーション組織であるDIANAの地域拠点が設けられている。エストニア軍は「スプリング・ストーム」演習をはじめとする高強度の演習を継続している。ルッテ事務総長は、エストニアが同盟に依存するだけでなく、同盟を強化していると述べた。人口100万人余りの小国が拠出できるのは資金だけではない。基地を提供し、人員を訓練し、サイバーセンターを運営することもその責務である。
ウクライナ支援に関してルッテ事務総長は、エストニアが2022年以降に8億5,000万ユーロを超える軍事支援を行い、ウクライナ軍兵士数千人を訓練したと明らかにした。エストニアは国内総生産の最低0.25%をウクライナ支援に充てるという公約を維持している。来年1月にはタリンでウクライナ復興会議が開催される。ルッテ事務総長はこの会議について、ウクライナに対するエストニアの取り組みが軍事支援にとどまらず、ロシアが破壊したものの復興、ウクライナの機関の強化、そしてウクライナの将来の確保へとつながる合図であると説明した。冬が近づきロシアの攻撃がやまない状況において、同盟は特に防空支援においてさらなる取り組みを行う必要があるとも表明した。
欧州が費用を負担して米国の装備をウクライナへ送る「PURL」プログラムも記者会見で言及された。ルッテ事務総長は、エストニア首相がPURL供給を再発表したことについて、ロシアのハイブリッド攻撃に対する最善の答えの一つであると評価した。同氏は質疑応答で、ハイブリッドやサイバーなどロシアが行う活動に対し、同盟は訓練を通じて備えており、必要なすべての対抗手段を備えていると述べた。対応が常に公表されるとは限らず、常に目には目をの応酬形式でもなく、時には対称的であり、時には非対称的であり得ると説明した。2024年12月末のエストニア・フィンランド間海底ケーブル切断を受け、2025年1月にバルティック・セントリーが発足した事例を目に見える対応の一例として挙げた。同氏はロシアが良好な立場にはなく、ハイブリッド攻撃は弱さの兆候であると述べた。
ミルレム・ロボティクスでの放火事件も記者会見で取り上げられた。ルッテ事務総長は、エストニアがこの事件をロシア特殊機関の仕業と断定したと明らかにした。同氏は、ウラジーミル・プーチン大統領が同盟の決意を弱め、ウクライナ支援を阻止しようとしているものの、ロシアはウクライナの戦場で失敗しており、同盟が怯えることはないと述べた。ロシアがウクライナの民間人に対する攻撃を継続し、NATO加盟国を標的にハイブリッド活動を続けているとの評価も併せて示された。放火犯、ドローン、そして海底ケーブルは、一見すると別々の事件に見える。同盟はこの3つを一括りとして捉えている。正式な武力攻撃ではないものの、日常を揺るがす行為であるという点で共通しているからだ。
ロシアがNATO領土を近く攻撃する差し迫った脅威は見られないとの評価も示された。ルッテ事務総長はフィンランドの放送局の質問に答え、同盟はそのように見ておらず、兵力増強が見られれば対応すると述べた。同氏は、連合最高司令官のグリンケヴィッチ将軍が月曜日のワルシャワでの演説で発信したメッセージは明確であると明らかにした。そのメッセージとは、居住地であるか否か、パリに近いかタリンに近いかワシントンに近いかオタワに近いかを問わず、同盟領土のあらゆる場所を防衛するというものである。すべての計画が整っており、東部戦線沿いに前方地上軍が配備されているとの説明も付け加えた。同氏は、同盟が防衛的同盟であり、他者を攻撃することはないと強調した。
NATOによる東部戦線の強化は、タリン会見の背景をなしている。NATOは東部戦線沿いに9個の多国籍戦闘グループで構成される前方地上軍を配置しており、エストニア戦闘グループは英国が主導国、フランスが貢献国となっている。統合防空・ミサイル防衛は、戦闘機やドローンを含む空中脅威から同盟を防衛し、同盟国が仲間の加盟国の空を24時間監視・パトロールする常時航空哨戒を含んでいる。2025年9月に発足した東部哨戒活動「イースタン・セントリー」は、東部戦線全体で警戒を強める柔軟なマルチドメイン活動である。同盟はこの活動を通じて、強化された抑止および防衛態勢に追加の能力と資産を投入している。
バルトの防空は、2004年にエストニア、ラトビア、リトアニアが同盟に加盟して以来続けられてきた。NATOはバルト三国に配備される戦闘機と乗員を加盟国持ち回りで提供しており、2026年には航空哨戒任務をより包括的な防空態勢へと格上げした。同盟の戦闘機は2004年からリトアニアのシャウレイ基地に、2014年からはエストニアのアマリ基地に配備されてきたほか、2024年からはラトビアのリエルヴァルデ基地も防空機を受け入れられるようになった。9月1日のトルコ戦闘機によるアマリからの緊急発進は、この輪番配備体制の中で起きた出来事である。ルッテ事務総長がアマリの戦闘機、タパの地上軍、そしてバルティック・セントリーを併せて挙げたのは、3つの領域の配備が互いに連動した態勢であることを説明するためだ。
バルティック・セントリーは、2025年1月にバルト海の重要海底インフラを標的とした事件の数々を受けて発足した。この活動はフリゲート艦、哨戒機、海上無人艇艦隊を含む多様なアセットを配備し、海底インフラの安全性を高めてきた。NATOは加盟国の国家監視アセットを統合し、インフラへの脅威を察知して必要時に対応する能力を向上させている。タリン会見で海の警戒に言及されたのは、エストニアがフィンランドと向かい合う沿岸国であり、海底ケーブル切断事件がバルティック・セントリー発足の直接の契機となったからである。ケーブル保護は、電力や通信の接続が海底を通るバルト地域において、安全保障上の問題として扱われている。