ロシア財務省「今年の予算赤字はGDP比3.2%」…1〜9月ですでに5兆1,860億ルーブル、年初法定値の2倍近くに

ロシア・モスクワ
ロシア財務省は10月9日、自省のウェブサイトで、今年の連邦予算赤字が国内総生産(GDP)の3.2%に達するとの見通しを公表した。同省の暫定集計によると、1〜9月の連邦予算は5兆1,860億ルーブル(GDPの2.2%)の赤字となった。前年同期の赤字は3兆4,710億ルーブル(1.6%)であった。同省が同一の表に記載した今年の年間赤字見通しは7兆3,450億ルーブルである。2025年11月28日に署名された連邦法第426号が承認した今年の予算赤字は3兆7,860億ルーブル(1.6%)であった。財務省は、今年の連邦予算執行が6月26日付連邦法第195号(予算法典および複数の法律を改正した法律)で定められた特例を反映して行われていると明らかにした。
乖離はまず歳入面に見られる。1〜9月の連邦予算歳入は29兆6,390億ルーブルで、前年同期比10.0%増加した。このうち石油・天然ガス歳入は5兆4,710億ルーブルで17.2%減少した。財務省は、ドル為替レートが前年より低下した点を理由に挙げた。一方、石油・ガス以外の歳入は24兆1,680億ルーブルで18.8%増加した。このうち付加価値税(生産・輸入段階で徴収される税金)は13兆4,670億ルーブルで27.4%増加した。前年同期は10兆5,690億ルーブルであった。石油・ガス歳入のうち原油価格の基準値に合わせて算出された基本歳入は5兆3,060億ルーブルで、前年の6兆4,120億ルーブルより17.2%少ない。石油・ガス歳入が減少したにもかかわらず、財務省は実際の歳入がこの基本水準を上回ったと明らかにした。今年1〜9月の石油・ガス歳入は、前年同期の6兆6,090億ルーブルから5兆4,710億ルーブルへと落ち込んだ。
歳出はそれを上回るペースで拡大した。1〜9月の連邦予算歳出は34兆8,250億ルーブルで14.5%増加した。前年同期は30兆4,240億ルーブルであった。歳出の伸びが歳入を上回ったことで、赤字は5兆ルーブルを突破した。財務省は歳出増加の理由として「中核的優先事項への支出増加」を挙げた。同省は、この支出増加と基本石油・ガス歳入の減少により、政府が設定した構造的均衡目標からの「一定の逸脱は不可避であった」と説明した。構造的均衡とは、景気や原油価格の短期的な変動要因を除去した財政収支を指す。今年、利払い費を除いた構造的基礎的財政収支の赤字は、GDPの1.8%前後になると見込んでいるとした。
法律で承認された今年の歳出は44兆700億ルーブルであり、財務省の新たな見通しは48兆5,270億ルーブルとなっている。石油・ガス歳入は承認額の8兆9,190億ルーブルから7兆5,840億ルーブルへ、基本石油・ガス歳入は8兆9,570億ルーブルから6兆9,610億ルーブルへと引き下げられた。一方、石油・ガス以外の歳入は31兆3,650億ルーブルから33兆5,980億ルーブルへ、総歳入は40兆2,830億ルーブルから41兆1,820億ルーブルへと上方修正された。
財務省は今年の付加価値税歳入の見通しを、承認額の17兆5,190億ルーブルから18兆1,300億ルーブルへ引き上げた。
財務省は赤字を補填する方法についても明らかにした。まず歳出の上限は、石油・ガス以外の歳入の上振れ分の範囲内で引き上げることができ、赤字補填に充てる「他の財源」として最大3兆ルーブルを調達可能であるとした。拡大した構造的赤字分については「主に連邦国債(OFZ)市場での追加借入を行わずに」補填するという。財務省は、これが企業など政府外部門の資金調達環境の逼迫を緩和し、金融市場を安定させるための措置だと説明した。石油・ガス歳入は国民福祉基金(NWF)(ФНБ、原油高時に歳入を積み立て、歳入不足時に取り崩して充当する政府の準備基金)とも連動している。同省は、今年の1〜9月に石油・ガス歳入が「基本水準を上回った」と明らかにし、歳入が不足した際に同基金の資金を取り崩す「財政ルール」が財政の安定を守っていると述べた。財政ルールとは、基準原油価格をあらかじめ設定し、歳入がその基準から乖離した場合に積み立てや取り崩しを行う仕組みである。
来年以降の計画は現在とは異なる方向性を目指している。財務省は、2027〜2029年の連邦予算案において、財政ルールに基づき基準原油価格を2027年から1バレル=50ドルに引き下げ、2029年に向けて段階的に構造的均衡へ回帰するよう設計したと説明した。また、この手法が予算執行による物価への圧力を軽減し、中期的には財政システムの持続可能性と均衡を支え、大統領が定めた国家発展目標を履行するためのマクロ経済・金融基盤になると明らかにした。ロシア中央銀行は10月23日に発表した中期見通しで、予算案は2029年に構造的基礎的財政収支をゼロに戻す構想であるとし、同予算が物価抑制に寄与するとの前提で見通しを策定した。一方で、リスク要因としては財政赤字のさらなる拡大を挙げた。中央銀行は同見通しにおいて、税計算に用いるロシア産原油価格を今年平均で1バレル=72ドル、来年55ドル、2028年と2029年は50ドルと想定した。財務省は、1〜9月の数値は暫定値であり、最終データは予算執行機関の会計報告書を反映して後日確定され、単一国庫口座を経由しない海外取引もそこに含まれると説明した。また歳入項目については、統合納税口座(企業や個人が一括して納税を行う口座)に納付された資金のうち、10月1日時点で連邦予算歳入に分類されたものを反映していると付言した。
出所(KST)
- ロシア財務省 「Предварительная оценка исполнения федерального бюджета за январь-сентябрь 2026 года」(2026-10-09) https://minfin.gov.ru/ru/press-center/?id_4=40677-predvaritelnaya_otsenka_ispolneniya_federalnogo_byudzheta_za_yanvar-sentyabr_2026_goda
- ロシア中央銀行 「Среднесрочный прогноз Банка России」(2026-10-23) https://www.cbr.ru/Content/Document/File/198897/forecast_261023.pdf ; 総裁発表文 https://www.cbr.ru/press/event/?id=32929